40歳以上の日本人にとって、フィリピンはあまりイメージのよくない国です。むしろ最悪かも。しかし、フィリピンが経済成長を続けていることやオンライン英会話の影響もあり若い世代のイメージは、英語が使えるアジアの国です。
10年ぐらいの間に、フィリピンは英語を武器に躍進、世界のコールセンターの中心地をインドから奪っています。ASEANの中でも成長著しいです。フィリピンの田舎は、昔からなにも変わっていませんが、首都のマニラは高層ビルが乱立しています。(下の写真) 物価も年々高騰しています。とくに不動産はバブルです。
賃貸にしても、駐在員が住むエリアで、安全に外国人が暮らせる部屋となると最低でも5〜6万円(20,000php〜)ぐらいは必要です。発展途上国なのに、一般的な駐在員は、日本と同じぐらいの生活費が掛かってしまう国です。
それでは、フィリピンで働く駐在員についてみていきましょう。
フィリピンの駐在員を知る
- フィリピンで働くという選択
- 物価は安くない
- 食費は日本の1.5倍ぐらい
- フィリピン駐在員のビザ
- 経済特別地区について
- 駐在員が用意するもの
- 労働ビザを取得するまではどうするのか
- 1年目は楽しいフィリピン駐在
- まとめ・フィリピンで働くという選択
フィリピンで働くという選択
フィリピンは英語が公用語となっている数少ないアジアの国です。オフィスワーカーなら英語が話せるのでタガログ語を覚える必要はありません。治安も徐々に良くなっているので日系企業の進出が進んでいますが、相変わらず警察は腐敗しており、イチャモンを付けて外国人からお金を巻き上げています。
対日感情も良好。治安を除けば、ASEANの中でも働きやすい国のひとつです。フィリピン人はムラッ気ですが、とても素直なのでマネジメントをするならとても面白い環境です。
スタッフを放っておくと徐々に会社の空気が緩んでいくことも実感できます。会社をよくするのも駄目にするのも駐在員であるアナタに掛かっています。
物価は安くない
フィリピンで外国人が住めるエリアで部屋を探すとわかると思いますが、日本の地方都市より家賃が高いです。駐在員に人気の町、フォートボニファシオでワンルーム(1R)を探すとなると、7万5千円ぐらいからスタートです。
マニラのオフィスエリアのマカティだと、フォートボニファシオよりも少し安いのですが、5万円(2万ペソ)以下の物件は少ないです。もちろん、外国人が安全に住めるレベルの部屋の話です。
食費は日本の1.5倍ぐらい
日本人駐在でフィリピン料理を好んで食べている人はレアです。まずいません。フィリピン料理を食べるのは日本から視察にくるお客さんを連れて行くときぐらいです。
となると、一人暮らしの方は日本料理屋が生命線となります。価格は日本の1.2〜1.5倍ぐらいです。東京に住んでいるなら同じぐらいの価格をイメージしておけば大丈夫です。
日本のグロサリーストアもありますが、やはり高い。日本の商品を輸入しているので当然とも言えますが、日本の2倍〜3倍の価格です。VAT(付加価値税・消費税)は12%で、レストランだと、更にサービスチャージが加算されます。
発展途上でありながら、日本と同じような生活をすると安くないのがフィリピンの特徴です。
フィリピン駐在員のビザ
フィリピンで労働ビザを取得するのは難しくありませんので、日本でサラリーマンをしているなら、まず大丈夫です。
もう少し詳しく書いておきます。駐在員がフィリピンで働くとなると、通常の労働ビザである9Gと呼ばれるビザを取得します。もしくは経済特別地区で働く場合は47-A2のビザになります。
経済特別地区について
経済特別地区は税金が優遇される経済区庁(PEZA)の登録企業や投資委員会(BOI)で登記してある企業のみです。もちろん、一般的な法人よりも厳格な管理がされているので法人の立ちあげにも時間が掛かります。
駐在員が用意するもの
労働ビザの申請に必要なものはたくさんあります。しかし、駐在員が労働ビザを取得する場合、大半のことは現地の受け入れ先の人事部や外部の業者が担当しますので特別準備が必要なものはありません。履歴書ぐらいです。
そもそも日本の人事部は社員の履歴書を保管しているはずなので、履歴書すら必要ないかもしれません。日本の人事部と現地法人の人事部があなたの知らない所で対応してくれます。
■申請に必要なもの
- 外国人労働許可証(AEP)
- 会社からのリクエストレター
- 申請書(公証人の認証付き)
- 雇用契約書
- パスポートのコピー
- 会社の定款・内規
- 受入企業の納税証明
- SECの認証済み定款
- 履歴書
しかし、フィリピンのイミグレーションの対応は非常に悪いです。そして遅い。労働ビザはかなり待つことになると思います。3ヶ月から半年ぐらいです。権力者のコネがあれば一瞬で取得できます。フィリピンはそのような国です。
労働ビザを取得するまではどうするのか
日本人がフィリピンに入国すると30日までの滞在を許可された観光ビザがもらえます。労働ビザが発給されるまでは、観光ビザを延長することになるはずです。ちなみに観光ビザの延長は2ヶ月まで、延長申請を繰り返すことで1年まで滞在できます。
マニラのイミグレーションは異常に混んでいます。そしてイミグレーションのスタッフはたくさんいるにも関わらず、処理能力が低い。散々待たされたあげく、エクスプレスフィーを請求されます。
もし、イミグレーションにいくのであれば、朝一番にしましょう。大手企業なら自分でビザの更新をすることはないはずですが、「イミグレは戦場である」ということを覚えておいて下さい。キレたら負けです。
ちなみに、観光ビザでの労働は認められていません。
2年目までは楽しいフィリピンの駐在
休日はゴルフやダイビングなど贅沢な遊びもできますが、エンタメの少ない国なので、やることはあまりありません。
一年目は仕事や生活に慣れるのに必死です。仕事に余裕が生まれていろいろなことに挑戦するのですが飽きてしまいます。毎週ゴルフができれば、なにもいらないなら話は別ですけど。
気軽に屋台で美味しいものが食べられるタイのような国ではないので、食べるものも固定化してきます。ものすごいマンネリが駐在員を襲います。フィリピン人の彼氏や彼女がいる方を除くと、3年以上の勤務はきついと感じる駐在員が多いです。
フィリピンの現地採用はきつい
日本人で現地採用の方の収入は、悲惨です。稀に20万ペソぐらい(50万ぐらい)貰っている方もいますが、5万ペソ〜10万ペソが一般的です。平均は8万ペソぐらいかな。そのぐらいの収入だと節約の日々ですね。しかし、8万ペソの収入になると個人の所得税の最高税率である32%のレンジになるので手取りはだいぶ少なくなります。
とにかく、フィリピンで働きたいなら現地採用は止めておきましょう。
まとめ・フィリピンで働くという選択
フィリピンの駐在員と一口に言っても、勤務地がマニラなのかラグナ・カビテ、もしくはセブなのか、ダバオなのかで印象は変わってきます。一般的なフィリピンのイメージはセブやダバオです。きれいな海と空。ちなみに、マニラの海はドス黒く東京より汚れています。
余談ですが、ドラマの半沢直樹で上司が左遷になりフィリピンのマニラ勤務となりました。しかし、海外拠点の重要度は昔より高いので、現在では、左遷された人材のくるところではありません。フィリピンのマーケットも大きいので、サービス、小売の大手企業がこぞって進出しています。
フィリピンで駐在員になるチャンスがあれば、ぜひ挑戦して下さい。
フィリピンは働くことが楽しくなる国です。駐在員を目指すなら海外求人に強い転職エージェント一覧を参考にして下さい。
国別駐在員の生活
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以上、「フィリピンで働く駐在員について」でした。